御神体の御塔石から見る
剣山より西に延びる稜線上に
太平洋の暖気が姿を現す積雲が
天に向って立ち昇っていた。
◆稜に立つ
紅葉の頂はダケカンバの黄色。
四国のものはうまく染まらないが
今年はいい色合いを見せてくれた。
◆山小屋
森の最前線を越え笹原に出て
居場所と思う山小屋が現れる。
今年は騒動で回数は減ったけど
また通い続けることが出来たな。
「ただいま~!」
後から山神様も上がってこられ
「そろそろ やりますか」
お久しぶりです。
◆夜の帳につつまれる
どうやら雨に会わずに
天候は回復に向かうようで
山は来てみないと解らない。
干し椎茸や蒟蒻まで手作りの
山小屋のおもてなしを頂いた。
そしてまた一つ出会いも頂いた。
“袖すり合うも多生の縁”
この騒動で人が隔たれようとも
日本人の心は変わって欲しくないな。
心地よい酔い覚ましに表に出ると
流れる雲の上に無数の星が瞬いていた。
温かい時をありがとうございました。
いく山のかなたといへど秋の雲 飯田龍太