山道は大地が還そうとする
梶ヶ森山麓にある定福寺奥ノ院の
古い苔むした石段を登りはじめ
ここから先が修験の場となる。
◆定福寺奥の院
崩れはじめた石段は
広く平坦なかつての境内に上がる。
ここには山梨などの樹も植えられて
先人の関わりを感じることが出来る。
「休んで行くろう」
そうしようや。
◆ゴロゴロ八丁
宿坊の軒先をお借りして
汗を拭い再び歩きはじめる。
今日は真っ直ぐ行こう。
奥ノ院から紅葉谷に入らず
ゴロゴロ石の道を登りはじめた。
この稜線までほぼ直登する道には
かつて石段が敷かれていたようだが
大岩に挟まれた急斜面にあるため
石が崩れ込み今は一般的でないだろう。
◆苔むす
この道は両脇に大岩が聳え
日照時間が短く苔が多く生きている。
「お前さん大きいね!」
カミキリムシ科の甲虫の総称。
最も普通に見られるのは胡麻斑で
捕まえるとキイキイと鳴く。
◆信仰の道
「らーくっ!!」
時々先頭のtochikoが注意を促す
45度を越える急勾配の谷には
転石が敷かれ浮石に注意を要する。
そんな緊張にあっても
岩に納められ苔むした
地蔵様の笑顔に和みを覚える。
やがて谷底の樹々の後に
巨大な岩が見えはじめる。
この先が谷の核心となる。
放つまで髪切虫の声を出す 右城暮石