猿板

遊山黒子衆SARUの記録

梅雨終わる梶ヶ森遊山 蟹の子

                                         f:id:kurokoshusaru:20210719134257j:plain

 「蟹や! かに!!」

苔に映える鮮やかな赤い色。

 「あんたも
    雨が気持ちいいもね」

◆滝頭に上がる
 深山の滝で涼んだのち
谷を登り返し滝頭に上がる。
この滝から奥は自然林となる。

f:id:kurokoshusaru:20210719134418j:plain

滝の周りは植物や動物も豊富で
それは飛沫など水分だけでなく
音も関係しているとの説もある。

                           f:id:kurokoshusaru:20210719134513j:plain f:id:kurokoshusaru:20210719134557j:plain

◆渓の道
 滝頭に上がればしばらく
佐賀山谷川に添った道を歩く。

f:id:kurokoshusaru:20210719134705j:plain

水の流れは穏やかになり
滝の音に変わる鳥の囀りが
時々止むのは雨のせいか。

            f:id:kurokoshusaru:20210719134801j:plain

◆風の道
 「傘で大丈夫」とは
レインウエアが必要ないこと。
雨の山歩きが嫌いになる理由は
風を通さない蒸れや暑さだろう。

f:id:kurokoshusaru:20210719134952j:plain

傘で足りれば風が抜ける。
なので「土砂降り」でないこと
「強風が吹かないこと」を見定める。

                  f:id:kurokoshusaru:20210719135050j:plain

「この落花は何ですか」

 いつの間にか
森に落ちる雨は止んでいた。

f:id:kurokoshusaru:20210719135304j:plain

 「これは山法師」

傘も仕舞えば風景が広がる。

                  f:id:kurokoshusaru:20210719135419j:plain

◆信仰の道
 葛折りに登ってきた山道は
真っ直ぐ上がる苔むした石段に至り
ここから先は修験の域となる。

f:id:kurokoshusaru:20210719135520j:plain

 「休んで行こうか」

石段の上に深緑に覆われた
定福寺奥の院遍照院が現れる。 

f:id:kurokoshusaru:20210719135615j:plain

                 もの影のごとく蟹の子生れけり  山本洋子