変化の風が吹く
山頂を下り三辻の森に帰る。
これから森は夏を折り返す。
◆三辻の森
三辻山から工石山の山頂部は
亜寒帯と温暖帯の植生が共生する
貴重な混生林が根を下ろしている。
「霧の中に原生の森
えい風景やいかぁ」
◆晩夏の森
夏の終わりの季節。
晩夏の約30日間は
小暑と大暑の節気にあたる。
ひとつの季節が去ってゆくという
もの憂さの様なものを感じながらも
「ばんか」と言う響きには
なにかキリッとした潔さがある。
「こりゃヒメシャラやな」
沙羅はツバキ科の落葉高木
山地に自生する別名夏椿。
6~7月椿に似た白色の花を開く。
これが花筵の最後かな。
◆森の中のもう一つの森
深山の樹々も花を咲かせ
次世代へ命を繫いでゆく。
子供の頃から親の背中を見ながら
炭を背負い山を歩いてきたKさんが
今も背負い継いでいる記憶こそが
「個」より「群」の幸せ「絡合」だと感じる。
「これがもう一つの森で」
私たち人間の遺伝子の中にも
もう一つの森があるのではないだろうか。
地に落ちて沙羅はいよいよ白き花 山口草堂