猿板

遊山黒子衆SARUの記録

入梅の三辻遊山 石楠花

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 「石楠花が咲いた」

 ツツジ科の常緑低木。
日本は4種自生し晩春から初夏
枝先に鐘形の花が集まって咲く。

◆深山に咲く

 「咲いたばっかりやね」

この山域の稜線は大岩が多く
石楠花も根を張り今年の花芽は
少なく感じたが結構咲いたね。

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◆変化のとき
 高木に止まった雨粒が
風で時々落ちてくる雫の森。

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新緑、紅葉、朝焼けや夕焼け
雨上がりなど自然は移ろう時に
美しい風景を見せてくれる。

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◆色合いの國

 「アケボノも見納めやね」

残花や落花が敷く花筵も
祖先は美しいものと見てきた。

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それは自然が厳しいから
戦うしかなかった大陸の他国と違って
自然の恵みで1万年以上生きて来られた
日本人独特の自然への親しみと感謝だと思う。

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 「花筵になっちゅう」

 はな-むしろ
草花などの一面に咲き揃ったさま

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また一面に花びらなどの
散り敷いているさまを
筵に見立てていう語。

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◆かえり道
 先人は「原生」を刈り払っても
自然を見て学んだ「絡合」を活かし
「里」を拓き新たな生態系を呼んだ。

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 「こんな綺麗な杉林は外にないね」

ここは先人が築いた手入れを継いでいるから
林床は中低木に覆われ野生との緩衝地帯となり
食べ物求め里や高山に追いやられることはない。

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縄文から自然の絡合に気づいた日本人は
「自然保護」や「環境に優しい」ではなく
「寄生」し1万年以上生きてきた様に私は感じる。

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 「お腹すいたね」

雨に遭うこともなく
お昼に下山できたな。

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 石楠花が結構咲いちょったで。

「それは良かったですね!」

 三辻はいい山だと思いますよ。

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                石楠花に手を触れしめず霧通ふ  臼田亜浪