「バイケイソウ出ちゅうで」
高山湿地に群生するユリ科の大形多年草
初夏に梅に似た花が咲くのが名の由来。
根茎は劇毒で乾燥させ殺虫に用いられた。
◆目覚めのこと
高木に囲まれたヌル谷のナロの
春は大地の草たちからはじまり
特にバイケイソウは早く若葉を出す。
「シコクブシも出ちゅうで」
このトリカブトの仲間は
春真っ先に若葉を出して
森に最後の花を添える。
◆囀ること
「囀りが長くなったね」
山の鳥は繁殖期に入った様で
雄が雌を追っている様に見えた。
「去年の巣を使うろうか?」
『オシドリは本当におしどり夫婦か』
との調査のために多くの卵を調べると
8割以上は別の雄の遺伝子だったと言うが
それをがっかりするのは人の想いだろう。
メスはより多くの遺伝子を集めたあと
子育てをするオスを決めているのであって
強い種を残すためには有利なことではないか。
自然は命を繫ぐメスを中心に造られてきたと思う。
◆かえり道
どうやら雨は免れたようだ。
ボチボチ降りてお昼にしょうか。
地球最初の大脳支配動物人間は
遺伝子刻まれた情報が読めなくなった。
今の科学でも9割が何をしているか解らない
遺伝子にあるのは38 億年生き残った知恵で
「個(I)」じゃなく「群(We)」のために生きること。
そこを観るには大脳の支配を排するしかないと思う。
なのでイエス様やお釈迦様はひたすら歩き
瞑想や座禅で大脳(煩悩)を排したと私は思っていて
ひょっとして山や森歩きはそれに近いのではないだろうか。
「雲が降りて来た」
◆より道
今日早駆けしたのは
ここでのお昼のためでもあった。
「こんにちは」
「山 まだ寒いろう」
寒いけど草も生えはじめて
鳥がいっぱい帰ってきたで。
頂きます。
帰る頃雨が降りはじめた。
お地蔵さま
ありがとうございました。
わが墓を止り木とせよ春の鳥 中村苑子