猿板

遊山黒子衆SARUの記録

春分の奥物部遊山 山清水

                                                            f:id:kurokoshusaru:20210323183344j:plain

 林道は終点に近づく。
この道は三嶺への登山口を
さおりが原に設けるために
使われようとしたことがある。

◆森に入る
 終点手前に渓へ下る道標があり
山道はいったん深い長笹谷へ下る。
私達はここからを奥物部の森と呼ぶ。

f:id:kurokoshusaru:20210323183539j:plain

◆長笹谷
 この渓は白髪山とカヤハゲの間
白髪分かれ頂付近の西斜面から出流。
地層は緑色片岩で片理という縞模様があり
その縞目に沿ってはげるように割れやすい。

      f:id:kurokoshusaru:20210323183655j:plain

その割れ目は水が浸入しやすく
凍ったり大水で強い力がかかると
容易に崩れ深い渓になる事が多い。

 河原で休んで行こうや。

f:id:kurokoshusaru:20210323183915j:plain

◆渓を渡る
 登り口は白髪山の山麓にあり
里の杣人が雇われ架けた橋を渡り
山道はカヤハゲの山麓を登る。

                             f:id:kurokoshusaru:20210323184753j:plain

この大岩の下には
落差55mの百間(けん)滝があり
かつて若い頃私達の沢登りは
この深山の滝を終わりとしていた。

f:id:kurokoshusaru:20210323185026j:plain

滝は堤と違い表面がゴツゴツし
水が短距離でぶつかり高周波の音を奏で
低周波を嫌う動物を安めると言う。

                  f:id:kurokoshusaru:20210323185357j:plain

◆水が造るもの
 渓へ下った山道は
谷の急な斜面を登り返す。

f:id:kurokoshusaru:20210323185718j:plain

急登を終え平坦となった山道は
尾根を巻き私達の居場所が見える。

                  f:id:kurokoshusaru:20210323190538j:plain

そこは長い年月をかけ
山清水が造った山中の平坦地
心安まる奥物部の森のまほら。

f:id:kurokoshusaru:20210323190924j:plain

                 山清水魂冷ゆるまで掬びけり  臼田亜浪