風が吹き上がる山頂を後に
ふたたび森に入り峠道を追った。
ここから北斜面の山道となり
南に巻くまで自然林となる。
◆山桜の森
ここは昭和に園地として整備されたが
今はこの地を訪れる人は少なくなり
静かな森の散歩を楽しむ事が出来る。
またここには山桜が多く
昨年の5月花吹雪を見せてくれた。
今年は花見に来ような。
◆共生する森
標高1000m前後の山域は
暖温帯の山地に多いアカガシと
冷温帯のブナが共存している
貴重な植生がある。
そしてワイズさんの好きな
ヒメシャラが多いのも特徴で
この峠の名の由来になった。
そんな森の落葉や寿命を迎えた樹々は
大地の菌類や微生物が食べて土に還る。
それは全て二酸化炭素の「炭素」の循環で
分解者は再びCO2を大気に返し森が育つ。
◆もう一つの森
森の柔らかい大地を楽しみながら
私が「森の中のもう一つの森」と呼ぶ
この森の最深部のナロ地に辿り着く。
特別な森は今日も
見えない鳥達の囀りに囲まれる。
やはりここは聖地だと思うよ。
◆花の森
山道がもう一つの森を抜け
山の東斜面を回り始めれば
中低木が根を張る森となる。
ここはまだ土壌が乏しく
ツツジや石楠花が多いが
今年石楠花の花芽が少ない。
「ここに一つあったで」
この一輪を観に来るのもいいな。
石楠花やツツジ達は
土壌が無くても根圏微生物と共生し
それらが作る窒素で体を造り
落葉し腐葉土層を形成してゆく。
「咲いとるわ・・」
山道が南に向けば
東の峠に続く古の道に入る。
地に落ちて沙羅はいよいよ白き花 山口草堂