猿板

遊山黒子衆SARUの記録

啓蟄の三辻山遊山 春の雲

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 杖塚から少し引き返し
赤良木峠に続く道に入る。
ここから峠を越えるまで
自然休養林を離れ歩く。

◆峠に立つ
 峠に続く雑木林を抜けると
昭和の頃廃坑となった赤良木鉱山の
ドロマイト採石場跡がある峠に出る。

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赤良木峠は南北に視野が開け
今日の空は高曇りで北の彼方に
残雪を纏った石鎚山が見て取れた。

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◆近道に入る
 峠を抜ける風で一本した後
植林を抜ける三辻山への近道に入る。

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この道は元々植林の作業道で
急な斜面に植えられた杉林を
葛籠折れに登り標高を上げる。

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その杉林には炭焼跡や
竹やぶの名残などがあり
先人の関わりを感じる。

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 「ミツマタ
    膨らみ始めゆろか」

 これらも先人が
持ち込んだものだろうね。

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◆自然の森
 植林の山道は雑木林に入り
程なく三辻山登山道に交わる。

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山道が下りはじめれば
忘れられた赤良木園地の
錆びた東屋の屋根が現れる。

 一本しょうか。

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◆山頂に立つ
 この山域が初めての2人のために
今日はたまにスルーする山頂に上がった。
その頂は園地から10分足らずの処にある。

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 標高約1100mの頂で
雲が流れる春の空に出る。

「家を出てから2時間でぇ」

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山頂の北西には雪を纏った
石鎚山系の名峰が並び
南の山並の彼方に大海臨む。

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 「ほんと高知は
    えぇとこですわ」

 平地が少ない山国やきねぇ。

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                 春雲に雪嶺ふれむとして触れず  吉野義子