猿板

遊山黒子衆SARUの記録

雨水の白髪分かれ遊山 春浅し

                             f:id:kurokoshusaru:20210223163538j:plain

 標高1770m山頂に立つ。
北側はカンカケ谷に深く切れ落ち
東西に尾根を張る奥物部高峰の
山麓まで見下ろすことが出来る。

◆頂に立つ
 真っ白い三嶺は見られなかったが
先の寒波による新雪が春の陽に光り
今日の一期一会を見せてくれた。

f:id:kurokoshusaru:20210223163721j:plain

◆稜の道
 さあ これから縦走、縦走。

白髪山から続く稜線の道を追い
白髪分かれに向かって歩きはじめた。

f:id:kurokoshusaru:20210223163827j:plain

白髪山から南北に走る尾根も
両側が深く谷に切れ落ちて
風が吹き上がり雪を持ち上げる。

                             f:id:kurokoshusaru:20210223163915j:plain

ただ今日は暖かいから
この谷風は有り難く感じた。

f:id:kurokoshusaru:20210223164030j:plain

◆鞍部へ下る
 いつも冬は雪深い尾根も
時々吹溜りを踏み抜く程度で
湿った雪は靴のエッジが効き
アイゼンもスノーシューも要らない。

                             f:id:kurokoshusaru:20210223164156j:plain
f:id:kurokoshusaru:20210223164242j:plain

風通しの良い場所で休憩する。
生物は放熱しエネルギーを得るため
身体の周りは冷やす必要がある。

                             f:id:kurokoshusaru:20210223164347j:plain

温度差がなくなると掻く汗も
身体の大切な防衛機能であって
気温の高い時は汗を肌で乾かし
気化熱で身体を冷やす事が大切だ。

f:id:kurokoshusaru:20210223164517j:plain

そして水の気化には風が必要で
雪や濡れを防ぐためのシェルと
身体に直接羽織るアンダーウエアも
通気性と透湿性を重視するとよい。

                                     f:id:kurokoshusaru:20210223164620j:plain

◆風のこと

 「ここがいつも
   雪庇になる場所でぇ」

 東西から吹き上がる風が
ぶつかる地形は雪が吹き溜まり

f:id:kurokoshusaru:20210223165028j:plain

風と風がぶつかれば雲が発生し
高山ではホワイトアウトとなり
視界を奪い危険な状態となる。

      f:id:kurokoshusaru:20210223165130j:plain

その日入る山域の気象と
歩く地形を見定めること。
それも大切な装備となる。

f:id:kurokoshusaru:20210223165221j:plain

 土壌の乏しい稜線に多い
ツツジたちのトンネルを抜け
目指す白髪分かれの頂に至る。

 「わぁ~!!」

                  f:id:kurokoshusaru:20210223165417j:plain

春浅き空へさし入る木々の末(うれ)  星野恒彦