一旦来た道をもどり
丸山荘の裏山を登りはじめ
空を覆っていた雲が開いた。
◆裏山に登る
山小屋「丸山荘」の名の由来は
標高1545m丸山の笹原にあること。
私は登山者があまり訪れることがない
この静かな山が何となく好きだった。
「わーっっ!!」
ワイズさん達の歓声が上がる。
良かったねtochiko。
◆朴の家
ある日お母さんに一人の山男を紹介された。
長年冬の山頂に一人で約40日間テントを張り
氷雪の観測をしていた静かなその山男から
雪や山など多くのことを教えて頂いた。
そして最後に彼から学んだものは
1997年この山で彼の命をも呑み込んだ
雪崩と言う自然現象の恐ろしさだった。
また上がって来たよ。
ここでお昼にするか。
◆口福のこと
「笹の元に座ったら
風が止まりますよ!」
私たちには特別ではなかった
ワイズさん達が歓声を上げた
丸山の良さを感じることが出来て
本当に良かったと思う。
丸山荘をずっと護ってくれた丸山が
これから二人の裏山になれば嬉しい事だ。
「あっ!
石鎚がみえたで!!」
◆帰り道
いま最先端の物理学者の中で
人が死んで「肉体」と「心」を失っても
「魂」が残るとしないと説明できない事が
多々あると言う学者が増えていると聞いた。
私はその話が何となく腑に落ちて
それ以来様々な人の死にあっても
以前ほど悲しいと思わなくなってきて
私の番が来てもきっとそうだろうと思う。
そんな「死を覚悟した」生き方が出来たら
もっと人生を温かく過ごせるのではないだろうか。
そうですよね。 謙さん。
春の雲人に行方を聴くごとし 飯田龍太