単調な冬景色に色を添える深山樒。
ミカン科の常緑小低木で山地に自生する。
4~5月頃白色の芳香ある小さな花を多数つけ
果実は晩秋赤熟して美しいが毒を有する。
◆若い森のこと
三辻山の森の樹はまだ若く
また競争に弱いヤマザクラが多く
かつて切り拓かれたか里人が薪や
炭を得るため間伐していたと思われる。
◆雨上がりの森
若い森は極相林と違って
中低木など植生が豊かだ。
「見て これ綺麗なで」
ノリウツギの花のなごり。
雨粒を纏うクロモジの越冬芽。
これも若い森ならではの風景だろう。
「姫沙羅は雨が似合うね」
ワイズさんも好きって言ってたな。
◆森のまほら
伐採を免れたブナの老木が現れ
私達が「もう一つの森」と呼ぶ処に入る。
今日も見えない鳥の囀りに囲まれ
森の中のもう一つの森は霧の中にあった。
まだ赤い落葉と樒の緑に囲まれた
権化の岩に護られたもう一つの森。
いつかここで夜を明かしたいなぁ。
◆かえり道
帰る道で思ったこと。
日本人は長く歩くと瞑想や
トランス状態に陥りやすいと言われ
まさにろくべえさんの言う歩く禅の世界だ。
天気図 地図の読み方
地面や岩場に合わせた歩き方
ギア(装具)の使い方パッキング方法などなど
山に入るために身につける技術はたくさんある。
そして技術を自分の身にたたき込み
自然にできるようになることが
技能となるのだろう。
技能が身についた人の準備や行動は早い。
技能は実際の山中に入り
費やす日数や時間の体験の中でしか身につかない。
= 歩禅 <その33> =
そして私はアウトドアと呼ぶものは
「便利」を離れ「不便」に身を投じ
日常をいったんリセットすること。
それも温かい人生を送る秘訣と思っている。
「お蕎麦は
次の楽しみやね。」
枯葉のため小鳥のために石の椅子 西東三鬼