工石山の道を別れて
三辻山を目指す山道に入る。
この道はかつての峠道。
◆赤良木峠
「寒気が入って来たね」
工石山と三辻山の鞍部となり
峠は強い北風の中にあった。
今日は何にも見えないな。
◆雲に入る
風が抜ける峠を後に
植林の作業道でもある
三辻山の近道は雲に覆われる。
「綺麗やねぇ」
白く光る霧の中に林立する杉。
期待した風景に出会えそうだ。
「静かやねぇ」
この時雨は止んでいて
私達は肌触りのいい霧に包まれた。
◆赤良木園地
葛籠折れでも急登の山道は
程なくなだらかな稜線に出て
雲はさらに明るさを増した。
鳥の囀りがよく響く
頂直下の忘れられた園地に出る。
ここからは自然の森で空気も変わる。
「一本しょうや」
「やっぱり冬は白湯やね」
自然のなかはシンプルがいいかもな。
冬雲は薄くもならず濃くもならず 高浜虚子