長笹谷の支流ヌル谷が造った
標高約1290m平坦地(ナロ)に上がる。
ここは私たちが30年通う森の居場所。
◆ヌル谷のナロ
ナロの東屋でザックを下ろす。
冬山は発汗を抑えるためこまめに休み
身体が冷えないよう短い時間で終える。
ナロに来て積雪は10cmになる。
私の今までの経験で四国の高峰は
1000m、1200m、1500m、1800m
毎に雪質が変わる様に感じている。
◆分け入る
ナロを発ち雪が増え雪質は軽くなった。
この雪のコンディションを覚えることも
ワイズさんにとって大切な体験となる。
今冬奥物部の森は気温が低いまま
今まで雨や陽射しを受けていないため
雪は居場所が定まらず風で動いている。
「これがあの樹ですか!?」
ヌル谷の源流にいるtochikoの森の母が
葉を落とし冬の眠りに入った姿もまた美しい。
◆雪の登り方
母の樹を越えると雪は
靴高に迫り軽いラッセル歩きとなるが
雪はサラサラでワイズさんのデビューに
ちょうど良いコンディションだった。
この日は登山靴のまま歩く「ツボ足」。
特に新雪はひざ下までならツボ足で
ひざ上になると体力や時間を浪費するため
スノーシューやワカンの出番となる。
「綺麗ですねぇ~」
雪山への不安が溶けてきたようだ。
でも油断をしてはいけない。
◆冬道に入る
山道が尾根筋に交わり
雪崩など積雪によるリスク回避ため
南斜面を横切る夏道を離れ冬道に入る。
この稜線に上がる直登や緩斜面も
雪登りの基本「キックステップ」を使う。
膝中心で後足の膝を前に出す動作と
体重移動と靴自体の重さを活用し
疲れないために出来るだけ
1回でステップを切ることが大切。
一旦蹴り込んだらステップを
崩さないために足をずらさないこと。
堅雪の場合には力を入れて
振り子式に蹴り込む必要もある。
急登を終え稜線に立つ。
ここからは優しい道だから
自分の好きな道を歩いていいよ。
雪山のかへす光に鳥けもの 木村蕪城