姫沙羅(赤良木)が多いのが
この赤良木峠の名の由来だろう。
沙羅はツバキ科の落葉高木で別名夏椿。
六~七月ごろ椿に似た白色の五弁花を開く。
◆深いところ
北の道は一旦鞍部に下る。
この平坦地は樹々の姿が美しく
この森のまほらのように感じる
私たちのお気に入りの場所だ。
この様な特別な処は
他の山域にも幾つかあり
私は森の中にある
もう一つの森だと思っている。
◆引き返す
山道は山頂部北側を巻いて
南側にある峠道に続いてゆく。
「ここは躑躅のトンネルになるで」
三辻は東西に尾根を張り日当たりが良く
降雨も豊かで多くの草木が花を咲かす
私は花の山と言っていいと思っている。
「今日も引き返すで」
今回は残紅葉と霧と雫の風景。
山はその時期ならではの美しさがあり
何より私は満腹より満足が大切だと思う。
◆雨には雨の遊山
私たちもそうだったが
雨の山が嫌になるのは
何でも必ず夏用GORE-TEX®を
羽織るからだと思っている。
人間はじっとしていても
熱と水蒸気を放出するので
いくらGOREでも熱がこもり
結露した水蒸気が不快感となる。
土砂降りは入らないが少々の雨なら
昨今透湿性と撥水性が進歩した
ソフトシェルと傘を差して歩くと
意外と嫌な雨も快適になるものだ。
「この山はお蕎麦が
頂けるから良いですね。」
そこもポイント高いよね。
足もとの草に音して寒の雨 柴崎七重