「珈琲いかがですか
讃岐のどら焼きもありますよ」
ありがたく頂戴します。
◆鎮めるとき
静かな霧の森で
仲間と共に温まる一時。
単独行もいいものだが
人にはふれ合いも大切だろう。
◆山懐に入る
東屋で一息つけたのち
三辻の東に延びる森に分け入った。
この山域は暖温帯のアカガシと
冷温帯のブナが共存しているが
やはり北面は冷温帯の落葉樹が多く
高木達の落葉がはじまっていた。
◆晩秋の森
私は満山紅葉より
冬を感じる晩秋の風景がいい。
「花を咲かせた草も
実を結んだ樹々も枯れて
一年の営みを終えた幹や枝は裸になり
ひっそりとながい冬の眠りにはいろうとしている
自然の移り変りのなかでも
晩秋という季節のしずかな美しさはかくべつだな」
山本周五郎 「晩秋」
◆晩秋の一期一会
歩めば軽やかな音を立てる
森に敷き詰められた落ち葉の
赤い色は雪が降れば黒くなる。
この音も色合いも
晩秋だけのものだろう。
「やっぱり
この山いいわぁ」
起き上り又倒れたる落葉かな 上野泰