ソフトシェルや傘差しと
それぞれのスタイルで森に入る。
私はカメラを出すので傘を差した。
◆分け入る
「今日もこっちから?」
かつての鉱山に続く林道から
工石山に続く山道に分け入った。
◆踊ること
登り始めの杉の植林を覆う
薄い霧が陽を抱いて輝いていた。
手入れが届いた植林は
林床に陽が届き草木が根を張り
シロモジなどの紅葉が楽しめる。
私は特に霧の中で枝を踊らせる
クロモジの黒いシルエットが好きだ。
「怒っちゅうで!」
ハサミを持ち上げ威嚇する沢蟹。
◆露のこと
山道は植林を抜け
二次林である雑木林に入る。
風雨を先に受ける高木は
すでに葉を散らしていたが
中低木の紅葉が迎えてくれた。
海から帰った命の源
水を得た森の命が輝く。
草花は終わりに向かい
雨は雪に変わる季節がまた来る。
露の世は露の世ながらさりながら 一茶