山道は龍王の滝を巻き
谷の源流に向かって自然林を登る。
この独立峰の森の規模は大きくないが
北斜面の複雑な地形の森は植生が豊かだ。
◆谷を溯る
「いい山ですね」
ここは土佐の自然を詰め込んだ
四季折々変化の風景を見せて
箱庭のような楽しさを感じる。
◆恵みの節へ
台風の風が吹くとは言え
やはり8月と比べて森は涼しくなり
葉の色も変わってきたことを感じる。
「これはヤマボウシの実」
「食べられるのですか?」
果実酒にしても綺麗な色が出る。
「これはクルミ」
柴栗の摘果も始まって
森は確実に秋に向かっている。
そろそろ
キノコも出るでぇ。
◆一息つける
山道に石段が現れ
定福寺奥の院の境内に入る。
この宿坊はユースホステルとして
登山者などで賑わった時代もあったが
今は静かに森に還ろうとしている。
ここも
いい居場所だよな。
旅は日を急がぬごとく山法師 森澄雄