沢風にシロモジが揺れていた。
芳香があるクスノキ科の落葉低木。
新葉に先だって淡黄色の小花を開き
種子および葉から白文字油を採る。
◆青葉の頃
登り始めの植林床に生きる
草木は花の盛りを過ぎたようで
僅かな光りを求め林に広げた青葉は
種子を育てようとしている様に見える
◆信仰の森へ
高知県大豊町にある梶ヶ森は
四国山地のほぼ中心標高1,400mの独立峰。
かつては「加持ケ森」と呼ばれ
空海が若いころ修行したことに
由来すると言われている霊峰。
山中には遍照院御影堂や
定福寺奥の院「護摩堂」
滝など幾つかの行場があり
古くから信仰の場とされた。
また山頂まで続く幾つかの参道は
登山道として長く親しまれてきた。
◆梅雨舞い飛ぶ
山道は大蛇に化身した
娘が住んでいると言われる
滝を祀る祠にいったん下る。
頂上付近より湧きだした水が
巨大な岩を削り落差20mを下る
日本の滝百選になった龍王の滝。
この梅雨蓄えた豊かな雨水を
今日も山里に流し続けていた。
飛沫も
気持ちいいよなぁ。
梅雨晴の飛瀑芯までかがやけり 野澤節子