猿板

遊山黒子衆SARUの記録

夏至の終わりの三ツ辻山 結

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 クロモジが実をつけ始めた。
クスノキ科の落葉低木。
樹皮の黒斑を文字に見たてたのが名の由来。
香気を持つ材はつま楊枝や箸を製する。

◆山毛欅の森
 南国土佐にありながら
家から1時間半でブナの森に着く。
この自然豊かな国に生まれて
本当に良かったと思っている。

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◆草を褥に
 海岸から短い距離で標高2000mに達する
四国山地南側に位置する降雨豊かな複雑な地形には
亜熱帯性から亜寒帯性に至る多種多様な植生が
それぞれの環境に対応して分布している。

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その3,000種を越え日本一と言われる植生は
江戸時代に佐川で生まれた少年の好奇心を刺激し
日本の植物学の父となる学者を育てたのだろう。

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◆静かな森
 三ツ辻山から樫山峠に下る。
その鞍部となる地形は風を集め
ふたたび霧が濃くなってきた。

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 鳥の囀りの向こうに
かすかに風の音が聞こえ
別の森があるように思える。

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 ここの静けさは
夢の中なのだろうか。

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 大蜘蛛の虚空を渡る木の間かな  村上鬼城