月見草が咲いていた。
アカバナ科の二年草。
夏の夕に方四弁花を開き
翌朝しぼむと紅変する。
◆林道のこと
歩きはじめの林道は
夏半ばを迎え鬱蒼として
風があり吸血虫は少なそうだ。
でも今日は
この風がくせ者だな。
◆植林のこと
林道を別れ山道に入る。
人が鬱陶しいと思う梅雨にこそ
植物はその恵みを受けて変化する。
登り始めの植林では
夏の花は蕾をつけはじめ
初夏の花は役割を終え
実を結ぶものもある。
この様に植林も手入れをすれば
植生豊かに下草や低木が生え
鹿を高山に追いやることもない。
◆自然林のこと
山道は程なく植林を抜け
自然に根を下ろした森に入る。
樹々の葉が出そろえば
自然林の方が薄暗くなる。
しかし囀りは賑やかで
自然林の命は多様だ。
風は
さらに涼しくなった。
紫陽花や白よりいでし浅みどり 渡辺水巴