木苺が実をつけた。
山野に自生するバラ科の落葉低木。
4月ごろに白い花を咲かせ
夏に黄色い果実が熟する。
◆静かなこと
工石山登山口に車を停める。
高知県は自粛が明けたとは言え
この天気予報では静かなものだ。
◆分け入る
「涼しいねぇ」
この時風は北に向かって吹き
低気圧は予想どおり北上している。
風があれば吸血虫も少なくなる。
「ナルコユリが咲いた」
ウツギの花は散り始め
森の花は初夏から盛夏に移ろう。
◆森に入る
目的は三辻山だが
いつものように植物観察のため
杖塚に寄るルートを取る。
登り始めは植林だが
比較的手入れされているため
中低木や下草がそれなりに育ち
根を張り大地を守っている。
◆水が造るもの
その薄暗い植林でも
私の拙い経験ではとても表せない
美しさに出会うことが出来た。
繭のような巣を作って
クモは中におるがや。
時々雲が切れ光が射す。
花筵が敷かれている。
街では鬱陶しく感じる湿気を
森では気持ちよく感じるのはなぜだろう。
木苺をふふめば雨の味のして 比田誠子