林道の終点手前で
渓へ下る山道にはいり
奥物部の森に分け入った。
◆長笹谷へ下る
ここまでの林道はウコギ科や
蕗、イタドリなど山菜の宝庫で
森に入ればキノコが沢山採れていた。
その森は15年前から変わり始めたが
別の命が根ざし始めたように感じていて
私は余生でそれを見定めたいと思っている。
◆渓を渡る
かつて長笹谷は
私たちの沢登りの遊び場だった。
この橋のすぐ下にも
落差15mの百間滝があるが
降りる道も崩壊し今は下れない。
しかし日本列島は隆起と崩壊を繰り返し
今の美しい姿になったのであれば
それが自然なのだろう。
◆山懐に上がる
長笹谷を渡り
カヤハゲの山腹を登り返す。
ここから見る風景は
四季それぞれの変化を魅せて
随分と楽しませてもらっている。
人それぞれ楽しみはあるが
これも頂上だけ見ていると
見過ごしてしまう風景だと思う。
今日も沢蟹のように
崩れ始めた斜面を這い登り
私たちの居場所に帰ってきた。
さゞれ蠏(がに)足はひのぼる清水かな 芭蕉