「はぁ なるほど
ここを入るんですね」
そうですよ。
どうぞご案内いたします。
◆神隠し
かつて炭焼きが使った山道は
今は通る人もなく山に還ろうとしてる。
しかし忘れられたその道の奥に
この森の「まほら」がある。
「平地があるんや」
いえいえまだ奥ですよ。
◆ザコと呼ばれる処
迫(さこ、ざこ)とは
山と山との間で谷のせばまった所。
ここは物部川支流の始まりで
長い時間をかけて土砂が堆積した
南に開けた扇状の森の平坦地で
清流が生まれ出流ところ。
◆荷を下ろす
ここはかつて炭焼きなど
杣人が掘立小屋を建てて居た場所で
今でも陶器の欠片などが残っている。
先人は日当たりと水を求めたのだろう。
「乾杯!!
お疲れさまでしたぁ」
車からゆっくり歩いて2時間
ここが今宵の寝床だ。
お昼を食べたら昼寝して
ゆるゆる泊まる構えを始めようか 。
◆森は子守歌
男性は森に浸っていたが
女性たちはヤル気満々だった。
一時流行った森林浴が気持ちいいのは
樹木から出るフェノール類ではないかと言われたが
最近どうもそうではないとの論文が多くなってきた。
それは耳で聞こえない2万Hz以上の高音ではないかとの
割合としっかりした論文が支持されていて
葉が擦れる音や鳥の囀り沢の音も高音域で
高域を切ったCDよりレコードの音が気持ちいいと同じ。
そう言えば
お母さんの声も高音域だよな。
動物はその安心する音を耳以外のどこかで
聞いているのかもしれないなぁ。
大いなる春日の翼垂れてあり 鈴木花蓑