工石山の南斜面を横断する
高低差が無いなだらかな山道は
高知市民の水源鏡川源流に下る。
◆川出流こと
鏡川の源流域には
「賽の河原」と呼ばれるナロがあり
まだ水量は少なく枯れた風景にあるが
ミヤマシキミは僅かな色を添えていた。
◆春告草のこと
賽の河原の辺には
郷土の植物学者牧野富太郎先生が
こよなく愛した春を告げる花が咲く。
「まだ早いろうね」
春告草バイカオウレンは
tochikoの言うように
若葉を芽吹いたばかりだった。
◆尾根道のこと
河原から双耳峰工石山の
南の頂に上がる尾根の森も
まだ冬枯れの中にある。
この尾根道は
石楠花道と言われる花の名所。
花期は6月を待たねばならないが
道から見る限り花芽が見当たらず
今年は裏年かもしれない。
◆南の頂のこと
尾根を登り標高を上げると
北側の嶺北を覆う雲の海が見えた。
その雲は工石山に昇り
私達が登り着いたとき
南の頂は雲に沈んでいた。
でも
これもいい風景だよなぁ。
石楠花に手を触れしめず霧通ふ 臼田亜浪