「烏柄杓が出ちゅう」
サトイモ科の多年草。
長い葉柄があって立ち上がり
先端に3枚の小葉をつける。
◆暮らしの跡
私達が最初に訪れたとき
ここには数軒の生活があった。
そしてここに居た里人に
この奥にも集落があったと聞いた。
しかし今はいくつかの畑と
ホダギを並べた椎茸栽培が
人の関わりを残すのみとなり
かつての人の暮らしは
山に呑み込まれて行くのだろう。
◆里の跡
しかし人が居なくなっても
人が作った環境で共生していた
草木や生き物が命を繋いでいる。
「葛の花もお終いやね」
木に巻き付き上がった葛が
里道に花筵を敷いていた。
◆分け入る
大屋敷の最深部にある
廃家の庭先から山頂の神社に続く
いにしえの参道がはじまる。
秋雨前線が四国を通過する日
神の山でどんな風景に出会えるか。
葛の花のにほひの風を過ぎて知る 篠原梵