光石登山口から
フスベヨリ谷を歩くのは
どのくらい振りだろう。
三嶺に至るフスベヨリ谷コースのほとんどが
土石流にのまれてから15年あまり
この谷に架かる橋は
あの頃と変わっていませんでした。
フスベヨリ谷は
明治の初期に盛んに炭焼きが行われ
山中あちらこちらの炭窯から細々と上がる煙が
この谷にたなびき集まり漂ったことから名付けられたという説があります。
深山の渓谷でありながら
どことなく人の匂いのする
不思議な谷です。
三嶺に取り付くまで
右岸左岸にと小さな橋を渡った記憶を辿りながら
崩壊の最前線であろう場所までの歩き
・・・の帰り道
行ってきたかえ?とカモシカが
この山域では久しぶり
得意の崖を渡り山に消えていきました。
鳴く鹿のこゑのかぎりの山襖 飯田龍太