山道に山紫陽花が咲きはじめ
正確な季節の移ろいを感じる。
私は街より山の紫陽花がいい。
◆渓へ下る
登山口から渓へ下る山道に
澄んだ朝陽が差しはじめ
午前雨はないと言っていた。
◆堂床河原
やがて沢の音とは違う
砂防堰の低い音が聞こえ
山道は広い河原に下る。
ここは堰に堆積した
土砂が造った平坦地で
キャンプしても気持ちよく
たまには人工物もいいものだ。
◆渓を歩く
BGMは沢の音と鳥の囀り
蝉やカジカガエルも鳴き始め
深山の沢は音楽も水筒もいらない。
そんな渓道には落花しか見られない
ヒメシャラ(夏椿)の花が敷かれ
山紫陽花が清楚な色を添えていた。
◆橋を渡る
渓道は長笹谷の
出会いに至り橋を渡る。
この吊り橋は
三嶺より出流水が集まる
フスベヨリ谷に架かるもの。
今日の遊山は
この清流を溯る。
河鹿啼く水打つて風消えにけり 臼田亜浪