この山域では
行政の害獣駆除の名の下に
多くの野生動物が殺されている。
◆人と自然
西熊の森には鹿が集まり
広大な山域が下草を失った。
鹿が集まった理由は様々言われるが
いずれも人の活動が原因となっている。
◆太夫さんの話
かつてこの森には
標高1200m付近まで集落があり
たとえば沼井谷の人々が里に下り
「沼井」の地名が今も残っている。
またヌル谷のナロ(さおりが原)には
かつて水田があり稲作が行われていたと言う。
そんな人の暮らしがあった山域には
物資運搬のため様々な道があり
ここも祖谷集落に続く峠道だった。
◆山津波のこと
この森を覆っていた
笹は全て鹿に食い尽くされ
剥き出しとなった土壌は
降雨の度に流れる様になった。
特に2007年の総雨量1000mを越える
大雨での土石流は致命的だった。
30年この山に通った私が道を見失い
横切ることも困難になった山道に
まだ赤テープが道を示している。
ここはもう廃道にしないと
重大な事故が発生する様な気がする。
翔てば野の光となりて春の鳥 長瀬きよ子