小屋で昼食待機している間に
外の雪は霧雨に変わっていたが
気圧計の針は上がっていた。
◆見定める
待つこと3時間で雨は止み
気温も下がり風向きも変わった。
「今日は稜線に張ろう」
◆天幕を張る
これが避難小屋の使い方で
私たちは避難小屋で泊まらない。
それは特に無人であるため
大雪や倒壊などで使えなかったり
悪天候などで辿り着けない事もあるが
その点テントはどこでも泊まれる。
私たちは「ヤドカリ」より
少々重くても行く先に我が家ありけりの
「カタツムリ」の方がいいと思っている。
◆稜線の口福
今日の庵が建てれば
さっそく宴がはじまる。
おつまみは山猫亭。
雪柚大根、イカ煮
牛すじ、ピンチョスetc
メインはTommy's Restaurant
肉と魚のしゃぶしゃぶ鍋だった。
料理をするもの 荷を揚げるもの
技術も道具も持っているものが「持ち寄る」
「割り勘」しないのがSARU流だ。
◆抱かれる
冬期の稜線としては珍しく
まったく風が吹かない夜だった。
近くで鹿の気配を感じた。
澄み切った夜空は
今まで観たことがない
多くの星を見せてくれた。
街では決して
見ることが出来ない風景。
この時私は鹿と共に
宇宙にいることを実感した。
雪だるま星のおしやべりぺちやくちやと 松本たかし