猿板

遊山黒子衆SARUの記録

最後の土佐マタギの物語2013 継ぐもの

Coleman:Feather TM stove

 正午を過ぎても猪に会えず
昼にしていたKさんの無線が鳴る。
「タッチが上の谷で太いがを
 おさえた(仕留めた)にかぁらん」


◆吉報が入る
「こりゃぁ河童という妖怪に
  猪どもが怯えた様やにゃあ」
豪快に笑う猟師Kさん。
 「よっしゃ 行かないかんろう」



◆心を繋ぐ
 無線を聞いた猟師達は
既に上の谷に向かっていた。
            
同じ山域で違う所に居た猟師達が
揃って集まる事が出来るのは
それぞれ個性をそれぞれが把握した
信頼関係の成せる技だと感じた。



◆命を繋ぐ
 「こりゃ雌じゃ
    上等の肉が取れるぞ」



脂肪を蓄えた70kgを越える猪を
慣れた手さばきで担ぎ棒に結わえる。


         
そして私もやっと
猪を背負うことが出来た。


                     
しかし本当に求めていたものは
この様な命がけの風景なのだ。



                                    = photo by Matagi K =
◆命を頂く
 そんな山追いを待っていた
tochikoとカミー夫婦と共に山の恵みを頂く。



 「こんな猟をしゆものは
   今はほとんどおらんと思う」
 やっと山追いに参加出来た充実感か
この日の猪汁は格別な味わいだった。



 Kさんと出会い
共に山を追った犬たちよ
一生ものの思い出をありがとう。

                      

私は決して君たちを忘れない。



                        鼻すこし曲りてゐたる猟師かな  肥田埜勝美