やがて林道が終わり
「韮生越え」と言われる
古い峠道がはじまる。
tochiko一本しようや。
◆山道に入る
急登から始まる山道は
かつて土佐と阿波の境を越える
峠道の一つであったと長老から聞いた。
◆変わること
西熊横断線を分岐で別れ
韮生越えの森に分け入る。
しかしこの尾根も下草を失い
山道は流れはじめた土砂で埋もれ
幾度か道を見失うことがあった。
一休みしようや。
◆土石流跡
この古の山道は
かつて私達の三嶺へのメインルートで
沢登りや有雪期のビバーグなど
多くの経験を得た場所だった。
しかし土壌を失ったうえ
平成14年豪雨による土石流で
この長笹谷流域の風景は一変した。
「一般ルートとしては
まだまだ使えんねぇ」
◆静かだった聖地
ザレ場で足を取られながら
私達にとって森の聖地だった
「鹿のコル」に辿り着いた。
「キャッ キャッ」
私達に気づいた鹿が
森の向こうで鳴き声を上げた。
どんなに環境が変わっても
鹿は命がけで生きていくしかない。
鹿鳴くと言ふ風の音ばかりかな 千代田葛彦
