山道は葛籠折れに上がり
山毛欅やミズナラの森に入る。
大木が多いこの尾根には
何か山の力の様なものを感じる。
◆変わってしまったこと
かつてこの森の木々は
背の高い笹と共に生きていたが
今は笹床を失い幼木が育っていない。
◆稜線のこと
稜線に上がり
満開のムシカリの花が迎えてくれた。
やはり稜線にも下草はなかった。
人の活動に住処を追われた鹿が
この尾根にも上がっているのだろう。
◆悲しいこと
鹿はここで懸命に
生きようとしている。
この森で食物連鎖の中
食べ物を争っているわけではない
人が「駆除」とか「ジビエ」と言う。
多くの命を奪って
「ダイエット」と言う人が
「自然保護」を唱えている。
純粋な心を裏切ってはならない。
「現象」を見て「源流」を見ない
そんな行いに私は強い違和感を覚える。
びいと啼く尻声悲し夜の鹿 芭蕉