物部川の源流域の一つ
フスベヨリ谷は奥物部の森で
一番水量が多く長い沢。
◆橋を渡る
沢に架かる吊り橋を渡る。
かつて私たちの沢登りは
この橋を潜って始まった。
この風景も昔のままだ。
◆わかれ道
フスベヨリ谷を別れ
急な登りを堂床谷に入り
10年ぶりに綱附森を目指す。
放置された植林にも
雑木たちの若葉が光り
森が呑み込もうとしていることを知る。
◆暮らしの跡
急登はいったん
石積みなどがある平坦地にあがる。
昔ここには集落があったと
里の太夫から聞いたことがある。
「水もあるし南斜面やもね」
シキミが多いのもその名残だろう。
山道は集落跡を離れ
堂床谷へ下ってゆく。
◆腰を下ろす
沢登りでも休んだ
徒渉の河原に荷を下ろした。
「綱附の水が一番うまいぞ」
里の杣人がそう言っていた。
ここに腰を下ろすと
何もかも忘れさせてくれる様な
顔ふつて水のうまさの山清水 河野南畦