なだらかな稜線に沿って
西に進み頂に近づくごとに
北西からの風が強くなった。
◆眺望よし
「どこでやろうかねぇ」
風を避けた見晴らしの良い
南東に向いた傾斜があった。
ここなら気持ちよさそうですよ。
◆口福のとき
早速雪を掘り椅子を構え
掘ったブロックでテーブルを積む。
座って姿勢が低くなれば
殆ど風が当たることはなかった。
和宏さん頂きます。
山では経験も技術も持ち寄り
危険を回避し自然を楽しみたい。
それが日本の登山の本質だと思う。
◆かえり道
人の数だけ価値観があり
山の登り方も人それぞれで
その人の価値観で楽しめばいい。
登山道を歩く 沢を詰める
岩をよじ登る 山スキーで登る
それぞれの楽しみ方があるだけで
難易度が高いものが偉いとは思わない。
「その人の命をどこで
どう使おうが自由やろ」
かつてチョモランマも経験した
元第2次RCCの先輩はそう言った。
「考え方の違う人とは
山に入らんほうがいい」
極地で命を懸け多くの友を失った先輩と25年付き合い
ただの一度も山の自慢話など聞いたことはない。
かりかりと残雪を喰み橇をひく 飯田蛇笏