猿板

遊山黒子衆SARUの記録

和宏さんの花巡礼「赤物」 斜陽

橋を渡る

 足谷川に架かる橋を渡る。
花の百名山に選ばれた西赤石山
アケボノツツジのシーズンが終わり
もとの静かな山に帰っていた。


◆時を遡る
 この山道は
銅山で栄えた街跡を遡る道。
谷川は人が去っても
何も変わらず流れ続けている。



◆人の営み
 昭和48年の閉山と共に
人の営みは森に沈み
山中で静かに眠っている。
                
銅の精錬のための山林乱伐や
硫黄分や硫酸の煤煙によって
周辺の山は丸裸となった。



山は保水力を失い
洪水が頻繁に起こるようになり
南斜面目出度町では大規模な山津波が発生し
多くの尊い人命が犠牲になった。
                
しかし私が初めて訪れて
わずか20年の間に
随分緑が深くなった事を実感する。



             
◆還ること
 年間8000億トンの真水が降り
浄化し続ける日本列島の自然は
人間が破壊できるものでない。
                   
人がいなくなれば
短期間で自然の状態に還る。



ここは「環境破壊」を唱える方に
是非訪れて頂きたい場所と思う。


                


                          死ぬものは死にゆく躑躅燃えてをり  臼田亜浪