雪の布団を
被っていない笹は凍り
乾いた音で風に揺れていました。
帰り道
ろくべえさんとかおさんを
案内したい場所がありました。
神池
この吊り橋を渡ります。
もうかれこれ二十年以上前
初めてこの場所を案内してもらった時に
伺った話を思い出します。
ある日池に牛が沈みました。
それから何年か後
麓から牛の死骸と共に神池の水が吹き出し
田畑を潤し干ばつを救ったそうです。
そして牛は境内の守護として
狛犬と共に祀られています。
境内の上には樹齢800年の大杉が
どっしり根を下ろし里の歴史を今も見守っています。
「水鳥かなぁ?」
池から何かの鳴き声が
ずっと聞こえていました。
帰ろうかと振り向いた時
神池に大きな虹か架かっていました。
それはこの時を
待っていてくれたかのような虹でした。
冬がれの里を見おろす峠かな 召波