猿板

遊山黒子衆SARUの記録

明治に分け入る遊山 起

高知道

「随分夜明けが
  早くなったねぇ」
 日差しも次第に強くなり
そう言えば蟬が啼いてましたね。


◆分け入ること
 今回は愛媛県西赤石山
山麓に眠る明治の遺産を求め
標高750m新居浜市東平を訪れた。



                   
◆東平のこと
 東平は大正5年から昭和5年まで
別子銅山の採鉱本部が置かれていた場所。
特に大正時代は鉱山労働者と家族含め
3800人が暮らしていたと言われる。



昭和43年東平坑休止で無人となったが
撤去した施設跡地に植樹が行われ
いま静かに大地に還ろうとしている。
                     

◆古の生活のこと
 かつて人と物資が往来した
第三通洞の前から山道に入る。
                    
しばらくは山道と言っても
かつての集落を登る葛籠折れの道で
ゆっくり標高を稼ぐとこが出来る。



                   
◆大地に還ること
 人々が去った跡に
植えられた杉たちが
過去を呑み込んでいる。



その風景の向こうに
自然にきちんと対峙し
利用した先人の心を感じる。
                   


  ただよへるものをふちどり杉の花  富安風生