「お友達がおる」
「えっ?tochikoさんどこです?」
kanaちゃん沢蟹のことだよ。
◆霧の中へ
脱皮したての沢蟹が
はさみを振り上げ威嚇する。
この命も懸命に生きている。
◆沈黙の森
いま人工林は静かだが
かつて間伐が盛んなころは
多くの命が生きていた。
植えられて30年たっても
切ってくれない杉達が
密集して生きているこの森は
私の目には痛々しく写る。
◆河鹿笛
自然林に入れば
鳥と蟬の声に混じって
谷から澄み切った音色が響く。
ヒョロ、ヒョロ、フィフィフィ…
笛の音と賞美される声の主は
山間の清流に棲息する
アオガエル科のカジカガエル。
アカショウビンといい勝負だ。
◆涼風出流
涼風の先にこの沢の主
「龍王の滝」が現れる。
落差20mを落ちる清水は
細かく砕け風となり
火照った体を冷ましてくれる。
水際まで山落ちてゐる河鹿笛 矢島渚男