これはガクウツギの残花。
夏の形を残す冬の風景は
また良い趣があるものですね。
◆山眠る
冬の眠りにある西熊の森に
ときおり留鳥が囀り鹿が鳴く
その枯れた静寂の向こうから
沢の音が聞こえてきます。
◆冬の川
一旦堂床の河原に下る。
夏に子猿たちと遊んだ場所には
固まった雪が敷かれていました。
「ほんと静かやねぇ」
水があちこちぶつかる沢の音は
高周波となり生き物に安心感を与える。
確かに聞こえているのに
静かだと感じるのは
その様な理由があるのです。
◆帰るとき
沢を渡り森に分け入る。
橋が新しくなったんだね。
「きっとケンジさん達の
お仕事になったがでね。」
25年通っている森の杉達も
その分大きくなっているはず。
そんな居場所の様に感じる
森に入って行くことは
帰ってきたような感覚なのです。
流れ来るもの一つなき冬の川 五十嵐播水