台風が去った奥物部の里には
夜明けの山間から白い炎が立つ。
この水が造る風景に心が震えるのは
私の遺伝子にある記憶によるものでしょう。
◆単独行のこと
tochikoがこの休日は出勤となり
連休初日の山行は単独となりましたが
静かに自然と対峙出来る時間は
とても貴重なものだとも思っています。
◆水が造るもの
水は木々を育てるのは勿論
空気中に漂い様々な命を養います。
山にもたらされた雨は
森の隅々まで行き渡り
木々と共に地形も造っている。
◆人が関わったこと
いま手を入れなくなった里の人工林が
不毛な森となり鹿をここに追い詰め
必死に命を繋ごうとする営みにより
下草を失ってしまったこの森は
長年蓄えた土壌が流れ始めています。
この森はこの先どうなるのか?
私はこれからもずっと通い続け
ここに記録したいと思っています。
◆稜線に出ること
まだこの山麓の森は
紅葉には少し早いようです。
でも日差しを透かし始めた葉は
今年の冬籠もりを決めたと
見上げる私に語ってくれました。
この森の最前線を護るブナの老木が
空に向かって枝を大きく広げている。
もうすぐ稜線だ。
雪降れば冬こもりせる草も木も
春に知られぬ花ぞ咲きける 紀貫之