猿板

遊山黒子衆SARUの記録

八ヶ岳遊山2009 生きて帰る事 =過去板=

地蔵尊

 山岳遭難の8割は下山時に発生している。
積雪期「地蔵尾根」の下りも難所です。
最後まで気を抜くわけにはいきません。
◆山で死んではいけない
 この年末年始も悲しい遭難事故が相次ぎ
大切な命が山に散ってしまいました。
今回の気圧配置を避けた
臆病な山猿は切なく思っています。

例えば「雪崩」も自然現象の一つにしかすぎず
そこに人がいるから「災害」と呼ばれる。
自然に悪意はなく決して戦う存在ではない。

たとえ運悪くその状態に陥ったとしたら
最後の瞬間まで生きることを諦めないで欲しい。
人は「生」を諦めた時から「死」が始まる。


 決して山で死んではいけない。



◆侮ってはいけない
 最近のファッション雑誌などに
登山に関する記事が多く見られます。
それはとても良いことだと思いますが
人の都合が通じない自然が相手です。

「楽しむ」事を決して否定しません。
ただ超人と言われた先人達が命を散らした自然は
ゲームと違いリセットはありません。
軽い気持ちで行動する事には違和感を覚えます。

◆正しく継ぐ
 自然の中で人間は毛を失った猿でしかなく
そこで生き残るためには道具と技術が必要です。
そして道具にはそれぞれ使う場面があり
判断を誤れば生死に関わる問題となります。

 それを雑誌やネットだけで判断できるのか?
私は個体差のある人間と自然を繋ぐ
「経験」という「のりしろ」が必要であり
それがメーカーと山道具屋の使命だと考えます。


 猿は「弱者保護」で生き残って来ました。
弱いものを群れの中心に置き行動する。
これが山で生き延びる極意であり
今回我々はたまたま生きて帰れただけだと
四国の山猿は思っています。



 

                                 白梅のあと紅梅の深空あり 飯田 龍太