山岳遭難の8割は下山時に発生している。
積雪期「地蔵尾根」の下りも難所です。
最後まで気を抜くわけにはいきません。
◆山で死んではいけない
この年末年始も悲しい遭難事故が相次ぎ
大切な命が山に散ってしまいました。
今回の気圧配置を避けた
臆病な山猿は切なく思っています。
例えば「雪崩」も自然現象の一つにしかすぎず
そこに人がいるから「災害」と呼ばれる。
自然に悪意はなく決して戦う存在ではない。
たとえ運悪くその状態に陥ったとしたら
最後の瞬間まで生きることを諦めないで欲しい。
人は「生」を諦めた時から「死」が始まる。
決して山で死んではいけない。
◆侮ってはいけない
最近のファッション雑誌などに
登山に関する記事が多く見られます。
それはとても良いことだと思いますが
人の都合が通じない自然が相手です。
「楽しむ」事を決して否定しません。
ただ超人と言われた先人達が命を散らした自然は
ゲームと違いリセットはありません。
軽い気持ちで行動する事には違和感を覚えます。
◆正しく継ぐ
自然の中で人間は毛を失った猿でしかなく
そこで生き残るためには道具と技術が必要です。
そして道具にはそれぞれ使う場面があり
判断を誤れば生死に関わる問題となります。
それを雑誌やネットだけで判断できるのか?
私は個体差のある人間と自然を繋ぐ
「経験」という「のりしろ」が必要であり
それがメーカーと山道具屋の使命だと考えます。
猿は「弱者保護」で生き残って来ました。
弱いものを群れの中心に置き行動する。
これが山で生き延びる極意であり
今回我々はたまたま生きて帰れただけだと
四国の山猿は思っています。
白梅のあと紅梅の深空あり 飯田 龍太