三嶺南斜面に源を発する
上韮生(かみにろう)川は
岸辺に藤の花を咲かせ
春の装いを纏っていました。
◆春の奥物部へ
その清流を引いた
久保の集落の水田に
奥物部の山が写っている。
何と美しい風景だろう。
代搔きの後澄む水に雲の影 篠田悌二郎
◆風光る
今年春は早く訪れましたが
気温が上がらずその進みは遅く
先人はこの春の風を
「風光る」と詠みました。
◆光の中へ
懐かしい森の香りがする。
春になれば森の空気が変わります。
それは冬の眠りから目覚めた木々が
呼吸を始めるためだと思っています。
木々がはき出す空気と
水が生み出す−イオンに満ちた森へ
私達は分け入って行きました。
笛を吹く頰の産毛や風光る 角谷昌