猿板

遊山黒子衆SARUの記録

朴の家の遊山2013 承

あの日の丸山荘

 ただ頂だけを目指していた
若い私の足を止めてくれたのが
笹ヶ峰8合目にある丸山荘を
管理していた伊藤さんご夫妻でした。
◆学舎のこと
 その老夫婦のお人柄に惹かれ
年の休みの半数以上をここで過ごし
山での仕事や登山者のことなど
10年間で多くの学びを頂きました。

当時tochikoと共に眺めていた
峰々は何一つ変わっていません。



◆記憶のこと
 四国初のスキー場として
多くの客で賑わった丸山荘も
私達が出会った頃にはその役割を終え

林道の延長により宿泊客も減り
縦走する僅かな登山者や
昔を懐かしむ常連客が利用する
静かな山小屋になっていました。
                   

かつて歓声が響いたスキー場は
いま静かに山に還ろうとしています。



◆大切なこと
 そんな山小屋で出会った
長年冬の笹ヶ峰に一人籠もり
氷雪の観測をしていた静かな男から
雪や山など多くの事を教えて頂きました。

そして最後に彼から学んだものは
1997年この山で彼の命を呑み込んだ
雪崩と言う自然現象の恐ろしさでした。

 謙さん。今年も来たよ。


貴方から教わった最も大切なものは
心だったと思っています。
 ありがとう。



                     深雪晴わが影あをき虚空より  深谷雄大