猿板

遊山黒子衆SARUの記録

冬の五山所道遊山 承

大久保に入る

  この奥は大久保言うて
 昔はよおけ人が住んじょった。
 学校に行く子供が列になって
 登り降りしよったもんよ。
◆記憶の中
 木馬茶屋を管理する男性が語る
御在所山山麓に残る集落跡は
ここを去る時に植えられたであろう
杉が林立する森になっています。

◆石を積むこと
 そこには確かに人が居た証である
多くの石積が残っています。

その小さな石一つ崩れる事なく
静かに眠るこの石積みには

先人達の貴重な経験と技術が
積まれている様に感じます。
          
◆人が関わること
 私もかつてそうでしたが
人が作るものを不自然とする
自然保護を唱える人たちが
多くいらっしゃいます。

でも先人は杉だけでなく
栗や竹、稲なども植えて
巧みに自然に寄生し生きて来ました。
              
この石積みも棚田にしても
それは自然の造形ではありません。

ただ人も自然が生み出したものである以上
たとえば人が作った杉林にしても
私は自然の造形だと感じ始めています。


                             杉植ゑて雲の中より戻りけり  宇都木水晶花