猿板

遊山黒子衆SARUの記録

一匹狐の遊山 庵のこと

カヤハゲの頂

 鹿はまあるくなって寝り
そこだけ雪が溶けてなくなって
鹿のまあるい跡だけ残ります。
◆一期一会
 目的の三嶺を目の前にする
カヤハゲに登ってみたものの
女神さまは厚い雲と強風の中にあり
今日は登っても仕方がない様ですね。

◆鹿の生きる知恵
 そんな訳で今日の寝床は
10年前の冬tochikoと雪面に残った
鹿の足跡を追って見つけた
「鹿の寝床」にする事にしました。

 ここは鹿が眠るために選んだ場所で
日当たりが良く風も避ける事が出来る
鹿が見つけた絶好のビバーグポイント
彼らは自然に逆らわず巧みに生きています。

◆庵を結ぶ
 テントにあたる雪音がBGM。
そして一人で過ごす山の夜は
長年付き合ったこのバーナーが話相手。

お気に入りの栗の盆に栗の器を乗せて
木の感触と湯気を楽しみ頂く
そんな独りの山での晩酌は至福の時。

◆静寂に守られて
 この週末の日本列島には
今期三度目の強い寒気が訪れ
各地で風雪での被害が報じられ
この山域も大荒れの天候となっています。

 でもこの居場所だけは穏やかで
稜線にたたきつける風の音は遠く
テントに雪があたる音だけが
静かに私を包んでくれました。
        


                                    湯豆腐にうつくしき火の廻りけり  萩原麦草