猿板

遊山黒子衆SARUの記録

朴の家の遊山 宿まで

山田謙

 春はボルネオの集落で暮らし
夏は屈斜路でカヌーのガイド
冬は四国の山で冬眠した山田謙さんは
1997年この山でその生涯を閉じました。
◆思い出の山
 先週末はろくべえさんご夫婦と共に
土佐と伊予の国境にある笹ヶ峰
4年ぶりに登ることにしました。

◆思い出の橋
 待ち合わせた下津池に続く
R194に沿う仁淀川は大雨で増水し
森が蓄えた恵みを海に運んでいました。

仲間と合流し国道を別れ
笹ヶ峰の登山道に続く林道に架かる
この苔むした古い橋を私達は
何回渡ったのだろうか。

◆思い出の道
「荷が軽くて気持ち良いね!」
 そうやねtochiko(笑)
ここは共に重荷を背負った道やもね。

結婚して間もないおまえと共に
10年間通い続けた山小屋への道。

道の先には伊藤さん達の笑顔が
いつも私達を待っていた。

そう。山田さんとの最後の荷揚げは
ここでも膝を越える雪があったんだ。

◆思い出の場
 登山口から1時間ほどで再び現れる
植林帯を登り切れば「宿」と呼ばれる
山麓にある静かな平坦地に至ります。

ここはかつてここ一帯を伐採し
住友銅山の精錬に使用する炭を運搬する
馬が常に100頭待機していたところ。

人との関わりと自然との境にあった
忘れ去られようとしている場所なのです。
   六月の花のさざめく水の上  飯田龍太