猿板

遊山黒子衆SARUの記録

最後の土佐猟師の物語 後編

やる気満々

「こんな猟をしゆものは
 今はほとんどおらんと思う。」
猪を追い犬と共に山を駆ける。
これが本当の「山追い」だと言う。
◆山を追うこと
 もちろん登山道などはない。
道なき山麓を猪の気配を追い
犬達と地下足袋で分け入る事は
山を知り尽くしているからこその技。

◆人を追うこと
「河童ちゃん。ここにゃ
 わしが子供の頃にぁ人が住んじょった。」
山と共に生きていた人たちの廃屋。

その生活の糧にしていたであろう
竹林に人々の微かな息吹を感じます。

◆技を追うこと
 Kさんも子供の頃から
親の炭焼きや植林作業に着いて
産まれ育った山に日々入り
それを当たり前の事として育ったと言う。

やがて大人になって猟に参加しても
自分の通った山で猪が追えるまでには
10年以上はかかったと言う。

◆命を追うこと
「生け捕りせにゃ臭そうて喰えんき(笑)」
犬も猟師も命がけの「山追い」

命と真正面から向かい合い命を頂く
「殺生」とは殺して生かすこと。

その心の頂を得るために
私はこれからもこの居場所に
通わなければならない様です。

                            限りなく降る雪何をもたらすや  西東三鬼