猿板

遊山黒子衆SARUの記録

最後の土佐猟師の物語 前編

最後の猟師の物語

「河童ちゃん何ちゃぁ心配いらん
  鹿が滅びる前に猟師が滅びらぁよ。」
猟師Kさんは豪快に笑い語る。
◆寄せてもらうこと
 海岸線の平野に険しい山が迫る
自然の恵み豊かな高知県安芸市
猟師Kさんの隠れ家はあります。

◆恵みを囲むこと
 年の瀬迫る冬の休日
猟師Kさん達の猪猟にご一緒させて頂きました。

明日共に猟に出る仲間が集う。
リーダーはいてもボスはいない
それぞれ平等に役割を持って
策を練り酒を酌み交わす。

目の前に出される無骨な料理は
どれもが里山から得た恵ばかり。

「わしらぁの領地に入ってきたら
 絶対に逃がしゃせんき(笑)」
私はそんな猟師達の笑顔の輪に
日本の原風景が見えた気がしました。

◆猟の朝のこと
 翌朝。猟に出る空気を読んだ犬達は
全身を使って「連れて行って」と
猟師Kさんにアピールしています。

「私はワンワン吼えるような
 みともない真似はさせやせん」
真剣な眼差しで犬を選ぶその言葉に
猟師としての誇りを感じます。

さあ、やる気満々の犬達を従えた
本物の土佐猟師の「山追い」が始まります。

                            猪鍋や山の見ゆるを上座とし  井上弘