再び厚い雲に被われた朝。
「今日は帰るだけだから」と
寝袋の心地よさ身を委ねる
私のテントに朝の光が静かに下る。
◆召還
変化の時が来た。
私はこの時を迎えるために
ここに呼ばれたのかもしれない。
◆帰る時
テントをザックに仕舞い
再び頂を目指す私に雲が絡みつく。
柞の森にも朝日が差す。
◆炎立つ
雲の切れ間から
光の階段が下る風景の中。
森から白い炎が立ちはじめる。
神を感じる厳かな山の目覚めを
今私は独り占めしている。
冬といふもの流れつぐ深山川 飯田蛇笏